Column_5

夏の食事でアスリートが意識すべきことは?
暑さに負けない体をつくろう!

料理家 、
トライアスリート/
高橋善郎

料理家/トライアスリート。料理人である父の影響で料理の世界に入る。スポーツをこよなく愛し、トライアスロンの国内大会では年代別で優勝するほどの実力をもつ。「食×スポーツ」を普及する活動も精力的に行っている。

暑さで体力が奪われたり、屋外と室内の温度差で体調を崩したり。夏バテや食欲不振で、体づくりが思うようにできない…ということがないよう、アスリートとして意識したい夏の食事について解説します。

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レースでの失敗が
食生活を見直すきっかけに

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野外スポーツに取り組むアスリートにとって、夏は一年で最も難易度の高い季節と言えます。ギラギラと照りつける太陽はアスリートの体力を奪っていきますし、かといって日常生活では食欲も振るわず、意識的に食事をとらないと体づくりも思うように進みません。

冬とはまた違った夏特有の食生活に効率的に取組みながら、うまく体力をつけていくことがアスリートには求められます。

数年前、真夏日に三重県で開催されたトライアスロンレースに出場したことがありますが、今思い出してもあのレースは本当にきつかったです

高気温で蒸し暑く、呼吸するだけでも苦しい―。レース中も何度も首に水をかけて体を冷やそうとしましたが、基礎体力が整っていなかったために、その日はいつまで経っても体が回復してくれませんでした。最後のランでタイムがワースト1位だったのも苦い思い出。当時は練習量が足りなかったことや、スポーツに必要な栄養素の知識が浅かったこともあり、体づくりが十分にできていない状態でした。

夏の厳しいレースを知ったからこそ、この季節にいかに体力をつけられるかが重要と気付かされ、日頃の食生活やレース中の補給食などを根本から見直すきっかけとなり、今でも意識し続けています。運動をしているアスリート、と言っても、夏は一般の方と同じく食欲が落ちる時期なので、効率的に栄養補給をすることが食事の重要なテーマになってくると思います。

食欲不振のときは
「量より質」を重視した食事を

夏の食欲不振の原因はいろいろ考えられます。たとえば、高温多湿な外気と冷房の効いた室内との温度差で体に負担がかかり、自律神経の乱れや消化機能の低下により食欲不振に陥いるケースがあります。また、直射日光によって体の水分が不足することで夏バテ気味になり、食欲が低下することも。

また、熱帯夜が続くと寝つきが悪くなり、睡眠不足になる方もいるでしょう。睡眠によってその日の疲労を回復することができないと、当然疲れが溜まって食欲不振を引き起こすこともあります。

体に必要なエネルギーやビタミンが不足するとだるさや疲労感が増幅するので、夏は「量より質」に重点を置いた食事をとることがすごく大切。食欲不振だからと言って悲観的にならず、それをうまく味方につけて、夏の食生活を見直すきっかけにするくらいの気持ちの持ちようがちょうどいいと思います。

完全栄養食の「チーズ」が決め手!夏場の栄養満点レシピ

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今回ご紹介するのは、夏にはぜひ試していただきたい栄養満点レシピ、「豚肉となすのピリ辛豆乳そうめん」です。

豚肉に含まれるビタミンB群には、みなさんご存知の通り疲労回復効果があります。スープのベースには低カロリーでかつ基礎代謝を促す効果がある豆乳を使用。完全栄養食品である「チーズ」をメイン食材のひとつに使用することで、少量でも良質な乳脂肪分を効率的に摂れるレシピにしました。

スープは火にかけずに材料を混ぜるだけなので、ものすごくお手軽。夏に定番のそうめんですが、このレシピは料理全体の栄養バランスがいいので、アスリートはもちろん、育ちざかりのお子さまにも気に入っていただけると思います。

詳しいレシピはこちら

夏だからこその料理を楽しむ

夏は多くの方々にとって楽しい行事が盛りだくさん。アスリートにとっても、この夏の体づくりやトレーニングの質がパフォーマンスに直結するといっても過言ではありません。

食欲がないときでも、体を冷やしすぎないようにグリル料理を作ったり、新陳代謝を活発にしてくれるスパイスを使ったり。

今回ご紹介したそうめんのように、夏だから食べたくなるものや夏に旬を迎える食材などを取り入れながら、栄養価の高い料理を選んで「量より質」でこの夏を乗り切ってください!